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371(無題)Name:さくら鱒 -R
2015/8/20 5:48
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「放射性物質が、侵入する恐れがあるので開けられない」と拒絶した。車に同乗している仲間は、その声が余りに大きかったので失笑した。外からは外からで、あの上官が迷惑そうに大声で職質を続けている。
「免許証の提示が無かったら、強権を発動しなければならなくなるので」といっている。bはなおも「違反もしていないので、お断りします」と叫び返した。そして、「この地で、静岡県警に警察権はあるのですか!」と聞いた。何と先程から、職務質問をしていた二人の警察官は、静岡県警のネームの付いたベストを身に着けていた。

372(無題)Name:さくら鱒 -R
2015/8/21 5:59
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bに指摘されると、上官は無線機を使って本部に指示を仰いだ。その指示が帰らぬうちに、警察官の面目を失いかけた隊員たちは、鵜の目鷹の目で車中を監視観察していた。そのうち一人の警察官が中を指さして言った。「不審者発見」今度は指揮棒を持った指揮官が運転席側の窓の所へやってきて、弥生の方を指さして言った。「あのものを出しなさい」さも不審そうだった。
確かにそう思われても仕方がないほどの格好を弥生はしていた。
頭には白い布でターバンを巻き、大きな黒いサングラスとマスクで素顔は全く分からない。首にもタオルを巻き付け、厚手の長そでのシャツで、露出している肌はなかった。暗い車中に有っては、拉致されて自由を奪われているように見えても不思議ではない格好だった。

373(無題)Name:さくら鱒 -R
2015/8/22 4:53
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これは放射線の影響を心配した男四人が、無理矢理弥生に身に着けさせたものだった。
車を取り囲んでいる警察官も機動隊員も騒然となった。
「だしなさい」「権力の乱用だ。」と押し問答が続く。一時間は経ったであろうか、m氏が「腹が減ったね」と言いだした。車内には昨日弥生が買い出しをしたおつまみがそっくり残っていた。時刻もそろそろ二時近い、長期戦だということで皆でいただくことになったが、bはまだ窓越しにやりあっている。
師匠が、「酒が無いと、おつまみだけではたべずらい」といいだして、警察官に、飲み物とかつ丼の差し入れを要求しろ、と言いだした。

374(無題)Name:さくら鱒 -R
2015/8/23 6:36
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この状況ではそんな虫のいい話は受け入れられるはずも無かった。
「このままだと、弥生のカラータイマーが点滅している。」是には男四人は異論はなかった。時間がかかりすぎて、tさんの忠告が無駄になってしまう。師匠はなにやら会長とbに耳打ちした。
二人は示し合わせて、手際よく車外へでていった。
たちまち警官隊に取り囲まれて、会長は窓が金網で囲まれたバスに乗せられ、bはパトカーの後部座席に押し込まれるように入れられた。
その様子を見ていた弥生を師匠とm氏が抑えている。やよいはすでにターバンを解き捨て、サングラスもはずしていた。外へ出ようと言うのだ。
「まあ慌てないで、すぐに戻って来るから大丈夫!」「ここは、ゴジラのしっぽのうえだから」と師匠もm氏も離そうとしない。

375(無題)Name:さくら鱒 -R
2015/8/24 5:52
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「でも、二人別々にして!犯罪者じゃないのに。」弥生は瞳を潤ませて警官隊を睨んでいた。そうこうしているうちに動きがあった。先に開放されてきたのはbだった。やや遅れて会長も解放された。二人は車の傍まで来ると、パタパタと上着やズボンをはたきだした。
「いってきました。」先に乗り込んだのは会長だった。会長は助手席に戻ると、後ろを向いて「新潟県警だったら、逮捕されていたな。」と言って笑った。(新潟では、山菜窃盗の犯罪者ベースに、リストされている)弥生は会長と握手しようと身を乗り出したが、師匠に止められた。
「外から来たものには、放射性物質がついているかもしれないから、洗わないとだめだ」と言った。bが乗り込むとまた弥生が手を差し出した。後部座席に有っては、師匠が止める間もなく、bが弥生の手を握りざま、引き寄せてかるがると倒れ込んできた彼女を抱き寄せてしまった。

376(無題)Name:さくら鱒 -R
2015/8/25 5:47
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「もう帰るぞ!」(この男は、連れてくるべきではなかった)師匠は苦虫を噛み潰したような顔で号令した。
帰り道は、県道35号線で一旦大熊町へ引き返して、さらに富岡町まで南下した。
国道沿いよりも住宅があって、住民に会える可能性が高いから、と言うのが理由だ。農業地帯の地方都市でも、幾軒も建ち並ぶ住宅街もあったが、ガラス戸にはカーテンがひかれ、人気のない無人の街だった。
そればかりか、窓ガラスの割れている住宅が殆どだった。おそらく、空き巣の被害なのだ。先程の検問でも、「今この辺をうろついているのは、泥棒だけだ。」と言って、疑いの眼差しを向けられたのだった。

377(無題)Name:さくら鱒 -R
2015/8/26 6:5
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屋根串の崩落も修理されていない。まだ住宅ローンの残っているでありましょう、新しげな家でさえ放置されたままなのだ。「放射能汚染で、いつ帰れるかわからないし、帰ってこられないかもしれない。是じゃあ修理できないよ」と会長が言った。人が住まなくなっただけでも家は崩壊していくものだ。地震に襲われ、放射能に汚染されて、仲間であるはずの人間に、窓をたたき割られて空き巣にまで荒らされる。無人の町中にあって、「何と悲しい事か」師匠が目頭を抑えた。あの日、着の身着のままで避難させられた、住民たちの「無念の墓標なのね」そう見えても仕方ないと、弥生は黙とうした。
今度は、県道36号線を富岡川沿いに滝川ダムに出た。秋ならば紅葉の名所で有名な自然豊かな峡谷だが、ゴジラからは、20キロ圏内に位置していたためか、一台の車と出会う事も無く、川内村役場まで来てしまった。
「もう私、心が折れそうだわ」弥生の言葉に、皆黙って頷いた。

378福島〜未来に向けてName:さくら鱒 -R
2015/8/27 6:13
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ここにたどり着くまでの道すがら、ただの一軒も営業している飲食店も商店も無かったのだ。お店が無かったのではなくて、開けているお店が無かったのだ。この深刻な状況に、なぜ、海岸沿いの浜通りで丸二年経った今でも、宿が取れなかったのかその訳を知ったのだった。首都圏では全くと言っていいほど、現地の今は、報道されていなかった。
日本ではいつどこでも大地震が起きても不思議ではない国であり、地域なのだ。20年前におきた、阪神淡路大震災で被災されて、いまだに再起復興されてない人たちもいる。東北大震災で被災された方々の3年目が、いつ自身の事とならないと言う保証はない。と強く感じた四人組とプラス1だった。
「何かできることをしなくては」と弥生が言うと、「政治を変えないといけませんな。」師匠がぼそりと言った。皆この現状を見て、心に秘めた思いがあるようだった。ややしばらく沈黙が続いた。
丸々一年以上、全国の原発が稼働を止めていた。再生可能発電の普及もあって、省エネも進み、夏場も冬場も電力は足りていた。にもかかわらず川内原発を、60%近い反対の声をおしきって、再稼働した。自治体の避難計画も、策定されないままの

379(無題)Name:さくら鱒 -R
2015/8/27 6:24
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見切り発車といえる。この新たな”安全神話”による老朽化した川内原発の再稼働は、自治体による住民の避難計画の策定も完成されないまま、60%近い国民の反対を押し切る形で始まったのだ。「「私たち、子供や、孫のために、な何が出来るのかな」弥生がつぶやいた。
長らく、つたない文章におつきあいくださった方々に、御礼申し上げます。ありがとうございました。

381ごくろうさまでしたName:ミーシャ -R
2015/8/27 11:46
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毎回おもしろく拝読させていただきました。次のシリーズも期待しています。ごくろうさまでした。

382国勢調査Name:渡辺正冨 -R
2015/9/16 17:24
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国勢調査の大部分調査員は非常にまじめにシンミを削っております
しかし、今日の新聞報道によりますと
いいかげんな調査員もおり、おおきな手抜きがおります
これに対して、総務省のコメントは非常識きわまりない
盗み見したIDとパスワードを使ったなりすましの回答は、可能
但し、ネットで調査書類が届かなくなるので、不正の有無は判別できるとしておりますが「調査書類がないのを幸いに」回答しない世帯があらわれる危険が
起こる可能性あり。
大事な国の基本調査が不正確になる危険性大
また手抜き調査員に支払われる資金は税金であり、税金泥棒である
このような調査員わ厳重に処罰されねばならない
総務省の猛省を期待する

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