| bに指摘されると、上官は無線機を使って本部に指示を仰いだ。その指示が帰らぬうちに、警察官の面目を失いかけた隊員たちは、鵜の目鷹の目で車中を監視観察していた。そのうち一人の警察官が中を指さして言った。「不審者発見」今度は指揮棒を持った指揮官が運転席側の窓の所へやってきて、弥生の方を指さして言った。「あのものを出しなさい」さも不審そうだった。 確かにそう思われても仕方がないほどの格好を弥生はしていた。 頭には白い布でターバンを巻き、大きな黒いサングラスとマスクで素顔は全く分からない。首にもタオルを巻き付け、厚手の長そでのシャツで、露出している肌はなかった。暗い車中に有っては、拉致されて自由を奪われているように見えても不思議ではない格好だった。 |
|